百田尚樹「海賊とよばれた男」を読みました。
傑作です!賞賛の言葉以外、見当たりません。
読みながら何度感激の涙を流したことか・・・。
主人公・国岡鐡造が石油ビジネスで成り上がっていく過程を通して、
明治・大正・昭和の激動の日本を見事に描いています。
大中小を問わず、会社経営者の方すべての人に読んでほしい本です。
会社とは何か、経営とは何か、経営者はどうあるべきかを教えてくれる小説です。
全盛期の黒澤明監督&三船敏郎コンビで映画化出来たらなあと思いました。
脇役には、仲代達也、志村喬、藤田進などの名優を揃え、
主人公・国岡鐡造の妻には香川京子です。
三船敏郎は、主人公の国岡鐡造のイメージにぴったりで貫録があるし、
黒澤明監督ならきっとこの小説を気に入ったでしょう。
それはさておき・・・。
物語は昭和20年8月15日に始まります。
国岡鐡造は、妻と娘たちを疎開させていた地で、敗戦を知ります。
茫然自失としながらも、日本の復興を信じて、
会社を立て直すために東京に戻ります。
幹部たちからリストラはやむをえないという声に断固反対して、
国岡鐡造は、社員を誰1人クビにしないことを明言。
そのために私財を投げ打つ決意をします。
そこから2年間は、まさになりふりかまわずに仕事を探し、
本業以外のことでお金になる仕事を得て、
艱難辛苦の末、昭和22年に待望の石油ビジネスに戻ることが出来ます。
そこまでの2年間を描いたのが、序章及び第一章「朱夏」です。
主人公・国岡鐡造の60才~62才までの2年間です。
そして、第二章「青春」では、時代をさかのぼり、
国岡鐡造誕生の明治18年~昭和20年の敗戦までが描かれます。
若き国岡鐡造は、生涯の恩人である日田重太郎から出資金を得て、
25才で事業「国岡商店」を立ち上げます。
日田重太郎が国岡鐡造が独立したいのを見抜いて、
出資をすることを伝えるシーンは目頭が熱くなりました。
第三章「白秋」は、時間軸としては、
第一部のラストからの続きとなります。
国岡鐡造が国内外のあらゆる難敵と戦いながら、
イランの石油を輸入する過程を描いています。
第四章「玄冬」は、昭和28年~49年まで。
国岡鐡造が亡くなるまでを描いています。
大長編ですが、読み終えて、またすぐに読みかえしたくなりました。
尚、国岡鐡造は出光興産創業者・出光佐三がモデルとのことです。
この小説を読んで、出光佐三がいかに傑出した人物であったかがわかりました。