村上春樹の最新長編小説
「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」の感想です。
期待を裏切らない面白さでした。
村上春樹のどの長編もそうなんですが、
読み終えるとまたすぐに始めから読みたくなる小説です。
この小説は、
主人公・多崎つくると彼をめぐる苗字に「色」を持つ人々の物語です。
色彩を持つ人とそれを持たない主人公の生き方の対比によって、
読者はさまざまな想いを持つでしょう。
ある人物には共感したり、別の人物には反感を抱いたり・・。
多崎つくるは36才。
職業は、駅舎建築に携わるエンジニアです。
彼が大学生の時に約半年間にわたって、
自殺することばかり考えて過ごしていたことの紹介から物語は始まります。
始めの数行読んだだけで、物語の世界に引き込んでいく、
その力量は相変わらずすごいです。
彼が何故そうなったのか、
物語がすすむ内に徐々にその真相が明らかになっていきます。
そして、迎える結末は・・・?
この小説で唯一の不満はエンディングです。
えっ、ここで終わっちゃうの?という終わり方。
もしかしたら、この小説も続編があるかもしれません。
それとも、この後の展開は読者の想像に任せるということなのか・・・?
「1Q84」でもそうですが、
「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」でも、
音楽が需要なモチーフになっています。
作品中に登場して、小説のタイトルの一部にもなっている
クラシック曲「巡礼の年」(フランツ・リスト作曲)を収録したCDが
ほぼ完売する現象も発生しているとのこと。
ハルキストはおそらくこの小説に満足しているでしょう。(エンディングを除いては)
初めてこの作品で村上春樹の小説を読んだ人は、困惑するかもしれないなあ。
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